サステナブルツーリズム – earthexplore

「サステナブルツーリズム」とは?注目されている背景などを解説

「サステナブルツーリズム」とは?注目されている背景などを解説

2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大きなダメージを受けた観光業界でも行動制限が緩くなったこともあり、コロナ対策を継続しながら徐々に国内各地の観光客を受け入れています。 そして、アフターコロナで注目されている観光スタイルの一つとして注目されているのが、SDGsの要素を兼ね備えたサステナブルツーリズムです。一部の自治体では、地域の活性化と自然保護などに対応できるよう、サステナブルツーリズム国際認証を取得し、持続可能な観光事業を得られる対策を図っています。 目次 サステナブルツーリズムとは サステナブルツーリズムとは、直訳すると「持続可能な観光」です。地域の観光事業を活性化しながら、地域の自然環境と住民の生活を守ることを目的とした取り組みを指しています。 サステナブルツーリズムを意識すると得られる主なメリットは、以下のとおりです。 従来の観光の問題点 高度経済成長期のマスツーリズムの進展により、富裕層といったごく一部の楽しみであった観光がより大衆化し、国内外を旅行する人の割合が増えました。そこで問題になったのが、地域の環境汚染と自然破壊などの「負」の影響です。実際にゴミやタバコのポイ捨て、写真撮影などのマナー違反などが問題となりました。 ほかにも一部の観光地でキャパシティ以上の観光客が受け入れられたために、観光バスなどの交通渋滞が増えたことで、地域住民の日常生活に支障が出たといった問題が発生しました。 この教訓から、観光地の自然環境と地域住民に配慮すること。そして、本物の地域文化を体験してもらうことにフォーカスし、地域住民と観光客とが良い関係性を保つことが大切という考えになりつつあります。 注目されている背景について サステナブルツーリズムが注目されている背景として、SDGs(持続可能な開発目標)が世の中に与える影響が挙げられます。 SDGsでは、17の目標が掲げられていますが、サステナブルツーリズの観点としては、以下のSDGsの目標と親和性が高いと言われています。 目標8「働きがいも経済成長も」ターゲットの8.9では「2030年までに、雇用創出、地元の文化・産品の販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する」と明記されています。サステナツーリズムの普及によって、観光に関わる仕事をしている方が長期的に働けるようになり、安定した生活も送れるようになることでしょう。そして、観光客が増えることで経済の活性化も期待できます。 目標12「つくる責任つかう責任」ターゲット12.b.においては、「雇用を創出し、地域の文化や製品を促進する持続可能な観光のための持続可能な開発影響を監視するツールを開発し、実施する」ことを目指し、持続可能な観光が重要であることにフォーカスされています。 目標14「海の豊かさを守ろう」SDGs目標14.7では「2030年までに、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の経済的利益を増大させる」ための手段の一つとして、観光が挙げられています。サステナブルツーリズムの認知度を上げることで、海洋の生態系および海沿いの観光地の自然保護が期待できます。 国際基準の認証制度が誕生 サステナブルツーリズムの選定のカギとなるのが、認証制度の有無と言われています。2008年に開催された国際自然保護連合「第5回世界自然保護会議」において、GSTC(=Global Sustainable Tourism Council、世界持続可能観光協議会)では、観光における持続可能な取り組み指標を掲げ、これまで幾度か改訂しています。現在は、GSTC Destination Criteria(以下、GSTC-D)を開発し、普及を継続しています。海外の多くの観光地では、GSTC-Dの4つの基準をベースとした取り組みがなされている模様です。 ・持続可能な経営 ・社会経済への影響 ・文化への影響 ・環境への影響(資源消費、環境汚染の削減、生物多様性と景観の保全を含む)  近年、日本でも持続可能な観光地の経営手法の導入を推奨する動きが見られています。観光庁では、各地方自治体や観光地域づくり法人(DMO)が持続可能な観光地マネジメントがする観光指標「日本版持続可能な観光ガイドライン(Japan Sustainable Tourism Standard for Destinations:以下、JSTS-D)」を定めています。 この観光指標によって、感染症対策や文化的建造物の維持管理、マナー違反などの課題対策だけでなく、日本の風土にも配慮した対策が可能です。 最後に サステナブルツーリズムの概要と普及している社会背景や認証制度について解説しました。認証制度については、GSTC-Dが多く使われており、日本でもGSTC-Dを踏襲したJSTS-Dがあります。ほかの記事でもサステナブルツーリズムの認証について触れているので、ご参考にして下さい。

Travelifeとは?国内の申請方法と企業事例などを解説

Travelifeとは?国内の申請方法と企業事例などを解説

Travelifeとは、旅行会社を対象としたサステナブルツーリズム(持続可能な観光)の実現に取り組む機関です。グローバルサステナブルツーリズム協議会(GSTC)の承認機関であるTravelifeは、持続可能な観光の国際基準を軸とした実践的な取り組みを振興し、取り組みを始めている国は世界80ヶ国以上にのぼります。企業がTravelifeを取得する場合、トレーニングやレクチャーを受けることが基本であり、日本では一般社団法人JARTAがTravelifeの窓口業務を行っています。 GSTCについて詳しくはこちら▼ 1. サステナブルツーリズムを選ぶポイント サステナブルツーリズムといっても、海岸のある地で過ごす、山間で伝統文化を体験するなどのあらゆるプランがあり、多種多様です。 興味があるジャンルや行きたい場所を選ぶのも一つの手ですが、サステナブルツーリズムとして選ぶ場合、GSTCの基準を満たしていることにフォーカスしましょう。なぜなら、GSTCの基準を設けているサステナツーリズムの方が、地域の経済や環境保全、文化の継承の観点で高く評価がされており、信頼ができるからです。 2. Travelifeとは Travelife(以下、本文の表記はトラベライフ)とは、オランダに拠点を構える第三者認証機関であり、ツアー従事者や旅行会社を対象とした持続可能性に紐づく審査を担う役目を担っています。 トラベライフは、ヨーロッパおよび各国のツアーオペレーター協会(※英国旅行業協会/ABTA、オランダ旅行業協会/ANVRなど)と連携し、ツアー事業者および旅行会社の運営の持続可能性を高めることをゴールとしたオンライン研修、ツール、手段を提供しています。自社や仕事で課題点がある場合は、コーチングにより適切な指導を受けられます。 3. Travelifeの国内窓口について 日本におけるトラベライフは、2019年5月から一般社団法人JARTA(以下、JARTA)が業務提携という形でスタート、オランダの本部をつなぐ窓口として対応しています。普段から日本語を使う人たちでもトラベライフを有効活用できるよう、認証基準の評価項目は和訳され、使いやすいコンテンツづくりにも注力しているのが特徴です。 JARTAは、国内での研修会の実施、日本語対応の審査員やコーチの養成なども実施。日本国内の持続可能な観光の普及とともに、SDGs達成にも貢献できる流れを生み出しています。 4.日本での Travelife取得方法 日本でTravelifeを取得する場合、最初にJARTAの入会手続きをすることが必須です。入会手続きは、公式ホームページの申込フォームに必要事項を記載し、JARTAからの承認を待ちます。JARTAの会員ランクにはステージ別に以下のとおり設定しています。 詳細については“トラベライフ Travelife” についてのページで掲載されていますので、ご覧ください。 5. 日本でTravelifeを取得している企業事例 日本国内でトラベライフのライセンスを取得した事例は以下のとおりです。 株式会社JTBグローバルマーケティング&トラベル 2019年2月、株式会社JTBグローバルマーケティング&トラベルでは、世界全体がサスティナブル・ツーリズムに対する共通認識が必要となっている流れのなか、サスティナブル・ツーリズム国際認証取得を目指し、2018年に社内で専門チームを立ち上げました。2019年2月、日本初のTravelife Partnerを取得しました。 Eighty Days株式会社 Eighty Days株式会社は、欧・米・豪を中心とした富裕層向けのオーダーメイド型旅行を提供する企業です。特徴の一つとして、地方の日常を体験することで、心に残る出会いを創出できるユニークな旅を展開しています。2020年11月に国内で3番目のTravelife Partnerを取得しています。 東武トップツアーズ株式会社 東武トップツアーズ株式会社は、47都道府県に事業所を構えており、旅の領域を通して地域の活力を日本の活力につなげる取り組みをしている企業です。2020年8月にTravelife Partnerを取得しました。 6. まとめ 脱炭素社会に向けた世界の流れもあり、今後、日本国内でも新たな観光スタイルとしてサステナブルツーリズムが浸透していくことでしょう。観光業界で「サステナビリティ」に取り組むスタイルが確立することで、ツーリズムに関わる人たちすべてが満足できる社会になることでしょう。

持続可能な観光地トップ100選に選ばれた、与論島とニセコの2事例紹介

持続可能な観光地トップ100選に選ばれた、与論島とニセコの2事例紹介

国際的な認証団体である Green Destinations(以下、GD)は、毎年、持続可能な取り組みをしている観光地のうち、トップ100選を発表しています。日本でもトップ100選に入る地域があり、地域の問題を解決する取り組みが国内外で高い評価を受けています。 本記事ではサステナブルツーリズムの視点から、トップ100選に選ばれた与論島とニセコの2つの事例をご紹介します。 サステナブルツーリズムとは サステナブルツーリズムとは、直訳すると「持続可能な観光」であり、観光地の地域文化と環境保全を第一に考えた観光スタイルです。観光客が楽しむことだけを追求するだけではなく、その地域の経済と居住者の生活をより豊かにし、文化や伝統を守ることを軸とした取り組みです。 また、サステナブルツーリズムは、国際自然保護連合(IUCN)が定める持続可能な観光の基準「世界規模サステナブルツーリズム(GSTC)クライテリア」という国際的な認証制度によって認証を受ける流れとなります。 サステナブルツーリズムが注目される理由 近年、日本でもサステナブルツーリズムが注目されています。主な理由は次の2点です。 飛行機による環境負荷飛行機を使う旅行も非日常を味わえる点ではリフレッシュになります。しかしながら、観光業界における二酸化炭素排出量のうち49%は「輸送」というデータも出ているので、旅行先の行動を見直す必要があるかもしれません。 以下の輸送の内訳のグラフでもわかるように、飛行機と自動車による移動はCO2排出量の割合がかなり多く占めています。世界各地で水際対策が緩和されているため、再び飛行機を使ったツアー件数が増える見込みです。サステナブルツーリズムの観点から考えると、今まで飛行機を使っていた観光地の移動手段を電車で行けそうな場所であれば、電車に切り替えるという選択肢を検討する必要があるかもしれません。 人が集まったことによる環境汚染と自然破壊観光地に人が集中する場合、現地の雰囲気は活気づき、そこで働く人たちの収入も安定するメリットがあります。その一方で懸念されているのが、多くの人が訪れることによって地域の環境を乱してしまうことです。実際のところ、ゴミを所定の場所に捨てないといったポイ捨てなどがあります。このような現状を踏まえて、環境保全を考えたサステナブルツーリズムを推す流れになっています。 与論島とニセコの2地域が Green Destinationに選ばれた理由と取り組み 2021年に与論島とニセコの2地域がGreen Destination(以下、GD)に選ばれました。どのような観点から選ばれたかという理由について解説します。 与論島 与論島では観光客が減ったことをきっかけに、島の自然環境や伝統文化、島民の暮らしを守りつつ、地域をより豊かにする活動を進めました。島民が美しい海を守るために砂浜清掃などといった海洋保全に注力したことで、島内60カ所の海岸のゴミがなくなり、その功績が評価されGDに選ばれました。ほかにもボランティアダイバーが年に2回のペースでサンゴ礁の増減や状態を確認し、海底全体の保全にもつなげています。 また、次世代に向けた環境教育も盛んであり、地域連携型の探究学習として地元の小中高で海洋教育を実施しています。海の実態や歴史、伝統文化を愛でる心や保全のレクチャーをしています。このようなカリキュラムによって、子どもたちが主体的に探究する姿勢を獲得できるよう促しています。 ニセコ ニセコは国内外の旅行者が多い人気の観光地として知られています。ニセコでは、生ゴミの堆肥化や再生可能エネルギーの導入などを積極的に行い、「環境モデル都市」「SDGs未来都市」のポジションとして環境負荷の低減を目指しつつ、地域のさらなる活性化に力を入れています。冬場は化石燃料のCO2削減ができるよう、地中熱や地熱・温泉熱などを利用できるよう、産学と連携を薦めています。 地域との関係性がサステナブルツーリズムを定着させるポイント サステナブルツーリズムを定着させるためには、意義や目的を理解するとともに、地域全体の協力を得ながらコミュニケーションを取ることが必要不可欠です。また、地域住民やこれからを担う若者、産官学が連携することで、GSTCの世界基準に合わせたサステナブルツーリズムが実現します。サステナブルツーリズムによって、これら全ての人たちの豊かな生活を叶えられるよう、今私たちにできることを考えていきましょう。

持続可能な観光地・Green Destinationsとは?

持続可能な観光地・Green Destinationsとは?

国内外には自然や風景など多くの人たちを惹きつける観光地がたくさんあります。そのなかでも地域住民と自然環境を配慮した取り組みをしている「持続可能な観光地トップ100」が毎年発表されているのをご存知でしょうか。 本記事では、Green Destinationsにまつわることと事例、そして関連ワードであるサステナブルツーリズムの概要を中心に解説していきましょう。 サステナブルツーリズムとは サステナブルツーリズムとは、地域の自然環境・文化・経済を守りながら、地域資源を持続させ、かつ地域住民の暮らしをより豊かにする観光や旅行の取り組みのことを指します。 観光客の誘致をするために経済活動をしても、観光客によって地域の環境が乱れてしまったなどの現象があった場合、サステナブルツーリズムのコンセプトとマッチしない取り組みとなります。 エコツーリズム、グリーンツーリズムの意味とサステナブルツーリズムの違いについて サステナブルツーリズムに紐づくワードとして、エコツーリズムとグリーンツーリズムの2つが挙げられます。それぞれのワードの意味は次のとおりです。 エコツーリズムエコツーリズムとは、地域の環境や文化の保全を目的とした観光スタイルです。観光客に地域の素晴らしさに触れる、体験してもらうことで、環境保全と経済成長における良いサイクルができることを目指しています。 グリーンツーリズムグリーンツーリズムとは、自然豊かな農村または漁村のある地域に滞在し、その土地の自然や文化、生活に触れながら、地域住民とのコミュニケーションを楽しむ余暇スタイルです。農業や漁業を体験しながら、地域資源の魅力も発見できるのが特筆すべき点となっています。 また、サステナブルツーリズム・エコツーリズム・グリーンツーリズムの違いは、サスティナブルツーリズムがツーリズムの考え方全般を示しているのに対し、エコツーリズムとグリーンはそれぞれの観光の手段を表しています。 サステナブルツーリズムが注目される理由について サステナブルツーリズムが注目される主な理由は、観光の大衆化です。 経済成長の影響によって安価でも旅行しやすい環境が整い、観光を楽しむ人が増えました。観光地に多くの人が訪れ、地域活動に活気づいたのは良いものの、ゴミが増えた、マナーを守らないなどの地域の環境にダメージを与えるという「負」の要因が目立ち始めました。このようないきさつから、地域の生活環境の維持と、環境保全に絡んだサステナブルツーリズムが注目されるようになりました。 なお、日本では2018年に観光庁に「持続可能な観光推進本部」が設置され、観光客のニーズと観光地の地域住民の生活環境の調和に取り組んでいます。 2022年10月現在、海外からの水際対策が緩和され、観光目的で来日する外国人が再び増えています。サステナブルツーリズムがどのような展開になるか注目してみましょう。 Green Destinationsとは Green Destinations(グリーン・デスティネーションズ、以下GD) は、オランダを拠点とする非営利団体であり、世界持続可能観光協議会(The Global Sustainable Tourism Council :略称GSTC)に紐づく国際認証団体です。 また、GDでは取り組むべき観光指標として 100 項目を定めており、そのなかで最も重要とされている 30 項目のうち、文化的資産の保護および保存など指定の15項目以上をクリアしていると「世界の持続的な観光地100選」にエントリーできます。 認証基準GDが定めている認証基準は以下のとおりです。初年度と2年目以降の基準においては、項目数に違いがあります。 初年度基準 2年目以降 ・ 訪問者のプレッシャーを管理する・ 機密性の高いサイトでの訪問者の行動・自然保護と観光モニタリング・動物福祉・ノイズ・光害・廃水処理・廃棄物の分別とリサイクル・再生可能エネルギー・気候リスクへの対応・観光が文化に及ぼす影響の管理・人権・住民満足度・財産の搾取・サステナビリティ基準 ・持続可能な目的地コーディネーター・ 宛先資産のインベントリ・目的地の管理ポリシーまたは戦略・観光による自然への影響への対応・ランドスケープ&シーナリー・固形廃棄物の削減・旅行による輸送排出量の削減・エネルギー消費の削減・有形文化財・無形遺産・計画へのコミュニティの関与・地元起業家の支援・地元の商品やサービスの宣伝・健康と安全 ・企業のサステナビリティ推進 引用先:https://groenevakantiekaart.com/top-100-destinations/methodology/#1605276128808-5a6c4e33-ab46 申請方法申請の流れとしては、地域の担当者がレポートを作成することが必須であり、その内容に基づいて評価されます。認証された地域は、GDの公式ホームページに掲載され、「積極的に持続可能な観光に取り組む地域」として認められ、国内外に広く発信されています。 日本で選ばれた地域について 日本国内でもGDのトップ100に選ばれた観光地があります。ここでは近年の観光地を以下の表にしてまとめてみました。 2020年 ニセコ町、釜石市、三浦半島、京都市、白川村、沖縄県 2021年 京都市、釜石市、ニセコ町、奄美大島、阿蘇市、長良川流域、七尾市および中能登町、那須塩原市、佐渡市、小豆島町、豊岡市、与論島 2022年 釜石市、阿蘇市、下呂温泉、箱根町、東松島市、南知多町、那須塩原市、小国町、大洲市、小豆島町 5年連続で選ばれた釜石市の事例 「世界の持続的な観光地100選」として選ばれた地域が、どのような理由といきさつで選出されたか知りたいという方もいることでしょう。こちらでは、2018年から5年間連続で選ばれた岩手県釜石市の事例について紹介します。 東日本大震災の被災地の一つである釜石市は、「漁船の活用による観光船の復活」をテーマに掲げ、震災で廃船という形になった遊覧船「はまゆり」を低コストで修復しました。観光客がいるときはクルーズ船として、漁業の繁忙機は漁船として活用することで、地域の漁師たちの所得向上などにつながりました。 また、釜石市は、岩手大学とも連携したプログラムも実施。乗船客に対し、採水した海水中のマイクロプラスチックのことと海洋環境の変化や要因を学ぶ場を提供したことで、環境面への貢献の側面でも高く評価されています。 海外から人気が高い日本、サステナブルツーリズムに取り組む サステナブルツーリズムは、日本でも耳にする機会が増えています。新型コロナウイルスの影響で2020年から2021年の国内外の観光が減りましたが、ここ最近、行動制限が緩和され、日本でも海外からの観光客が増えています。 […]

国際基準GSTCとは?日本でも広がるサステナブルツーリズム

国際基準GSTCとは?日本でも広がるサステナブルツーリズム

持続可能な社会の実現に向けて多くの業界が取り組みを行っています。新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための行動制限が解除され、インバウンドツーリズム需要が戻りつつある観光業界も同様です。 世界では、サステナブルツーリズム(持続可能な観光)が大きな注目を集め、サステナブルツーリズムの国際基準「GSTC」が世界の多くの観光地で活用されています。日本では、観光庁が日本版のガイドラインが策定し、地域の観光産業にサステナブルツーリズムの概念を取り入れる支援を行っています。また、自治体は、国際認証取得を目標に掲げるなど、国内でもサステナブルツーリズムに向けた動きが活発化しています。 サステナブルツーリズムとは? UNWTO(国連世界観光機関)は、サステナブルツーリズムを「訪問客、産業、環境、受け入れ地域の需要に適合しつつ、現在と未来の環境、社会文化、経済への影響に十分配慮した観光」と定義しています。つまり、観光を通じて地域経済を発展させ、地域社会や自然環境・文化も守り、 現在から未来の中長期的な時間軸で考える持続可能な観光のことです。 新型コロナウイルス感染拡大前は、国内外の人の行き来は非常に活発でした。同時に、観光による環境汚染や自然破壊といったマイナス面も表面化しました。京都に数多くの観光客が押し寄せ、市民の日常生活の移動手段の1つである市バスが混雑する様子を見たことがある方も多いのではないでしょうか。これは「観光公害」や「オーバーツーリズム」とも呼ばれています。これからの観光は、観光地の本来の姿を持続的に保つことが求められます。そして、観光客や地域住民、事業者など、すべてのステークホルダーが満足できる環境を整備し、ツーリズム産業を育てる必要があるとして、サステナブルツーリズムが注目されています。 また、旅行者の意識も変わりつつあります。2021年に宿泊予約のためのオンライン旅行会社であるbooking.comが発表した調査結果によると、世界の旅行者の81%が「今年はサステナブルな宿泊施設に滞在したい」、43%が「旅行に関する選択にさらに配慮することで現地のコミュニティや経済を支えたい」と回答しています。 GSTCとは サステナブルな観光をしたいと思っている旅行者にとって、旅行先や宿泊先選定の1つの基準が、認証ラベルの有無です。世界持続可能観光協議会(GSTC=Global Sustainable Tourism Council)が策定した国際基準(GSTC=Global Sustainable Tourism Criteria)は、観光業界が、サステナブルツーリズムを実現する上で、最低限達成すべき基準を設けています。事業内容やビジネスモデルによって基準や法律が異なる場合があります。その為、柔軟に対応できるよう、追加基準を自ら設定でき、補完出来ます。 追加基準には、宿泊施設やツアー会社向けのGSTC-I(GSTC Criteria for Tourism Industry)と、観光地を対象としたGSTC-D(GSTC Criteria for Destinations)の2種類があります。ただし、これらはあくまで基準を設けているだけであり、実際の認証を行うのはGSTCが認めた第三者認証機関です。Green DestinationsやEarth Check、Travellifeなどが第三者機関として認定されており、これらの団体の認証を取得することで、国際基準・GSTC認証を得ることが出来ます。 観光地を対象とする認証 “Green Destinations” 観光地を対象に、国際基準の認証を行っているGreen Destinationsは、世界的に高い評価を得ている制度です。Green Destinationsは、100項目の評価基準を設けています。全体の内、どの程度基準を満たしているかによって、スコアが変わり、プラチナ・ゴールド・シルバー・ブロンズに格付けされます。また、認証取得までの過程も評価します。 日本版ガイドラインJSTS-D 日本の自治体、DMOや観光産業も、サステナブルツーリズムに対する関心が高くなっています。関心が高まるきっかけの1つが、2020年に観光庁より発表された日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D=Japan Sustainable Tourism Standard for Destinations)です。2021年には「GSTC承認基準」を満たしていると、GSTCより公認されました。 JSTS-Dは、3つの活用方法があります。 最後に 認証を取得したからといって、多くの観光客が押し寄せるわけではありません。また、取得することが目的にならないよう、注意を払う必要があります。重要なことは、そこに住む住民が、どのような観光地・地域づくりを行いたいのか、どうすれば観光によってローカル経済に好循環を生み出せるのかを考え、実現に向けて取り組むことです。 参照:https://www.gstcouncil.org/booking-com-2021-sustainable-travel-report/

航空業界カーボンオフセット制度 CORSIA認証

航空業界カーボンオフセット制度 CORSIA認証

世界の気温上昇を1.5度未満に抑えようと、製造業や観光業など、多くの産業セクターが、温室効果ガスの削減やカーボンニュートラル実現に向けて動いています。世界全体で排出される二酸化炭素の16.2%は移動や輸送分野が占めており、そのうち1.9%は飛行機が占めています。航空業界は脱炭素社会に向けて航空会社は排出量を計算するだけでなく、燃費の良い新型の航空機の購入や、二酸化炭素の排出量がより少ない運行ルートへの変更、そしてバイオ燃料などの代替燃料の活用が進んでいくことが予想されます。 変わり始めた航空業界 日本も参加しているICAO(国際民間航空機関)は、2010年に、2つのグローバルな削減目標を策定しました。1つ目が、2050年まで年平均2%の燃費効率改善。2つ目が、2020年以降、温室効果ガスの排出を増加させないこと(2020年以降のカーボンニュートラル成長)です。 そして、それらを実現するために、以下4つの具体策を提示しています。 ①新技術の導入②運行方式の改善③代替燃料の活用④市場メカニズム(CORSIA)の導入 カーボンクレジットCORSIA 「2020年以降、温室効果ガスの排出を増加させないこと」という目標を実現させるには、①〜③の対策だけでは難しいことが予想されます。そこで、企業はカーボンクレジット制度であるCORSIAの導入が推進されています 最大離陸重量5,700kg以上の航空機の国際線運航者が対象となっており、2019年をベースラインとし、数値を上回っている場合は超過分に相当する排出枠を購入する必要があります。 CORSIAの導入は3つのフェーズに分けられており、2021年から2023年まではパイロットフェーズ(試験期間)、2024年から2026年までは第一フェーズ、2027年から2035年が第二フェーズとなっています。 2021年の時点で排出量の把握は、ICAOへの参加不参加に関わらず全ての国が対象となっており、カーボンクレジット制度は、ICAOに参加している国が自発的に参加することが可能です。2021年の段階で日本を含めた90ヵ国が参加の表明をしています。第二フェーズの2027年からは、全てのICAO加盟国が義務化の対象となります。 CORSIAの仕組み CORSIAを導入すると、各民間事業者は二酸化炭素の把握・削減・オフセットが義務化されます。排出量のモニタリング計画を作成し、結果をレポートにまとめ検証期間による検証を受けたのち政府に提出します。その各国政府は、航空会社に対する体制の整備と受け取ったレポートをICAOに報告する必要があります。 各民間事業者は、最終的なオフセット義務量について、CORSIAの排出量ユニット適格基準を活用し、埋め合わせを行う必要があります。 CORSIAの排出量ユニット適格基準 カーボンオフセットプログラムでは、以下の要素を満たしている必要があります。 プログラムの質を確保しつつ、削減に向けた方法と手順を公開すること。また、今後さらに削減するための方法論や手順も公開すること。 プロジェクトのレベルについて公開すること。(例えば、プロジェクトベース、プログラムの一部なのか)また、それぞれの適格基準についても公開すること。(例えば、セクター、プロジェクトタイプ、地理的情報など) オフクレジットが(a.)どのように発行されたのか(b.)焼却・キャンセルされたのか(c.)ディスカウントされた理由などの情報を公開すること。また、(d.)クレジット期間と、更新可能かどうかについても公開すること。 (a.)それぞれの要素が追跡可能であること(b.)個別の識別番号で特定できること(c.)セキュリティーにより安全に管理されていること(d.)所有者や保有者が特定されていること(例えば登録 簿による特定)を確保するための手続きがあること(e.)他の登録簿とのリンク がある場合は記載すること(f.)登録している内容が国際的なデータに準拠しているかどうか、ある場合はそれがどのようなものか明示し、それらに関する情報を公開すること 根拠となる法的性格や所有権について定義すること。また、そのための手続きに関する情報を公開すること。 妥当性の確認と検証の基準と手順、および検証者と検証者の認定の要件と手順が整っている必要があります。 上記の基準、手順、および要件はすべて、公開すること。 プログラムの管理の責任者と意思決定の方法に関する情報を開示すること。 (a.)どのような情報が収集され、どのような方が利用するのか(b.)ロー カルステークホルダーコンサルテーションを実施する場合の要件(c.)パブリックコメントを実施する場合は、その規定と要件及びそれらがどのように検討されるかについて情報を公開すること。 なおすべての方法論について、パブリックコメント期間を設け、公開すること。 環境及び社会的リスクに対処するためのセーフガードの要件があること。また、これらに関する情報が公開されていること 使用する持続可能な開発基準に関して情報を公開すること。例えば、国が掲げている持続可能な開発に関する優先事項の達成にどのように寄与するのか、またそれをいかにしてモニタリングし、報告し、検証するかについて公開すること。 炭素市場や排出量取引に関する国内及び国際的な制度の状況は常に変化しています。その中でダブルカウント、二重発行、二重計上にどのように対処するのか情報を提供すること。 最後に 上述の通り、CORSIAとは、ICAOのグローバル目標達成のために、主要3 対策に加えて、市場メカニズムを活用するための制度です。今後、CORISIAによって、CDMや自主的炭素市場等のプログラムから発行されるクレジットへのニーズは高まると想定されます。一方で、COP26で議論されるパリ協定第6条に基づき、CORSIAはダブルカウントの防止や、相当調整を行う必要が出るため、制度の内容は変化する可能性があります。パリ協定第6条の議論の動向にも注視していきたいです。 参照:https://www.icao.int/environmental-protection/CORSIA/Pages/default.aspxhttps://www.iges.or.jp/jp/pub/corsia-carbon-offsetting-and-reduction-scheme/ja

養殖サンゴで生態系を守る

養殖サンゴで生態系を守る

サンゴ礁は、海の熱帯雨林と呼ばれるほど多くの生物が暮らしており、また光合成によって二酸化炭素を吸収することで地球温暖化の抑制にも貢献しています。しかし、世界の平均気温の上昇を1.5度未満に抑えることができたとしても、海水面の上昇や海水温の上昇により、70-90%のサンゴ礁が死滅すると言われています。このままでは海の生態系が失われるだけでなく、私たち人間も魚が食べられなくなるなど、深刻な影響を受けることになります。今回はこのサンゴ礁の保全に向けて取り組んでいるNPOや企業の取り組みについてご紹介します。 サンゴが重要視されている理由 サンゴ礁は海洋全体のたった0.2%しか占めていませんが、海洋生物の25%に住処を提供しています。また、私たち人間の暮らしにも重要な役割を果たしてくれています。海をカラフルに彩る観光資源としてはもちろん、豊かな漁場を提供する産業資源であり、台風や津波などの洪水被害から私たちを守ってくれる自然の防波堤としても活躍しています。 さらに、サンゴは共生する褐虫藻の働きにより、木と同様に光合成を行い、海水中の二酸化炭素濃度の調整役も担っています。その量は熱帯雨林に匹敵するほどの二酸化炭素を体内に留めているといわれており、地球温暖化の抑止にも大きな役割を果たしています。 サンゴ礁の危機的状況 しかしそのサンゴ礁は現在、地球温暖化による海水温の上昇や、海水面の上昇、海の酸性化などで危機的な状況に陥っています。世界全体で気温上昇を1.5度未満に抑えられたとしても70-90%が死滅し、2度上昇すると99%が死滅すると言われています。 この数値をみると、手立てが無いように感じてしまいますが、サンゴ礁の保全や養殖に取り組んでいる企業やNPOについてご紹介します。 Coral Vita Coral Vitaは、陸上でサンゴを育て、海に植え直すことで瀕死のサンゴ礁を活性化させる活動をしている企業です。2017年に設立し、カリブ海・バハマ島を拠点とする世界初である商業用の陸上サンゴ養殖場をつくりました。 Coral Vitaでは海ではなく陸に養殖場をつくることにより、災害や水質汚染などのトラブルを受けずに、成長条件を完全に制御することで、より大規模な修復活動と、生息海域外の貴重で絶滅の危機に瀕しているサンゴ礁の生態系を多く復活させる取り組みを行っています。 その手法は、世界中の海洋研究所で開発された最先端の技術を使用しており、サンゴの生存を脅かす温暖化と酸性化の海に対する回復力を高めながら、自然界の50倍の速さでサンゴを成長させ、可能な限り最も効果的な方法でサンゴ礁を復元しています。 そして、Coral Vitaでは、ウェブサイトを通じてサンゴの養子縁組を実施しており、個人でサンゴを購入することができます。もちろん家族や友人などにプレゼントすることも可能です。購入後は証明書が送付され、サンゴの成長過程や、さらに熟成したサンゴを礁に植え付けた後の海の中での状況もメンバーポータルから確認することができます。 さらに、観光業界(ホテル・リゾートやエコツーリズム運営会社など)に対し、その土地に適した珊瑚を生育することによって海洋生態系を回復させると同時に、集客に貢献することにも取り組んでおり、サンゴ礁回復に関連した経済の活性化にも注目しています。 Coral Gardeners Coral Gardenersは、フランス領ポリネシアにあるタヒチの姉妹島であるモーレア島の若いサーファーと漁師のグループによって2017年に設立された非営利団体です。彼らは、モーレア島周辺のサンゴ礁の急速な劣化を目の当たりにし、サンゴ礁の危機を解決するために活動を始めました。 海に生命を取り戻すために、水温の上昇と海の白化現象に耐える耐性の高い「スーパーコーラル」を特定し、育て、植えることで、瀕死のサンゴ礁の復元をしています。現在までに、15,000を超えるサンゴの植え替えを行っており、AIとスマートセンサーを使用したReefOSでサンゴの苗床をリアルタイムで観察および監視して、サンゴ礁の回復に役立てています。 そして、この活動をソーシャルメディア、イベント、アンバサダーを通じて広めることで、世界中にサンゴの重要性についての認識を高めることに専念しています。 Coral Gardenersのウェブサイトでは、サンゴを25ユーロから購入でき、名前を付けて成長をサポートすることができます。また、植えられている場所や現在の状況をライブストリームで都度確認することも可能です。さらに、サンゴの園芸について学び、サンゴを直接植えに行く海の庭師になることができるエコツアーを通じて、海洋環境の保全に対する意識を高めることにもつなげています。 Coral Guardian Coral Guardianは、国際的に活動している2012年に設立されたフランスの非営利団体です。サンゴ礁に依存している地元の人々を巻き込むことで意識を高め、科学的発見に参加することで、サンゴ礁の生態系を保護することを使命に活動しています。 参加型プロジェクトの一つでは、地域住民と協力し、ダイナマイト漁により損傷したサンゴ礁の復元をしています。地元住民の意識を高める意識向上プログラムを実施し、サンゴの回復を通じて、持続可能な漁法の使用を促進するなど地域社会への教育も行っています。 同社の、「サンゴの養子縁組」プログラムでは、30ユーロでサンゴに名前を付け、購入することで誰もが海の保護に貢献できます。この取り組みによって、Coral Guardianの創設以来、40,000を超えるサンゴが移植され、4年後に復元された場所には30倍近くの魚種が存在する生物多様性を取り戻すことができました。 その他にも、サンゴ礁の重要性と直面する危険性を人々に認識させるための意識向上キットの開発や、さまざまなイベントを通じて国際的に意識を高めています。 また、人気のある科学記事、科学研究への参加、およびそのデータの共有を通じて、海洋科学をより利用しやすくすることを目指しています。 まとめ サンゴ礁は、海洋全体の二酸化炭素の濃度を調整したり、海の生態系の25%を占めており、私たち人間にも多くの恩恵をもたらしてくれています。 サンゴ礁の白化現象は、地球温暖化だけではありません。海洋プラスチック問題や有害な化学物質なども原因となっています。実際、私が愛用している同じメーカーの日焼け止めを昨年と今年のもので比較してみると今年のパッケージには「ビーチフレンドリー処方」と記載されており、少しずつ変化していることを感じます。しかし、これはほんの一部に過ぎません。 サンゴ礁の養殖は、ひとつひとつを見れば小さな変化かもしれません。しかし、これらの活動を通じて海洋環境の保全に対する意識を広めることができれば、やがては大きな波となり、サンゴ礁を救うことが出来ると思います。国内でもこれらの活動がより多くの人に認知されることを期待します! <参照> https://coralgardeners.org/https://www.coralguardian.org/https://www.coralvita.co/https://www.climatecouncil.org.au/resources/impacts-degrees-warming/

​​エミレーツ航空|1年間で500トン以上のプラスチックとガラスをリサイクル

​​エミレーツ航空|1年間で500トン以上のプラスチックとガラスをリサイクル

アラブ首長国連邦のドバイを本拠とするエミレーツ航空は、機内で廃棄されたガラス瓶やペットボトルを回収し、2022年は、合計500トンをリサイクルしたと発表しました。ペットボトルは、洗浄後フレーク状に砕かれ、溶かしてペレットになり、プラスチック製品のメーカーが回収し、再利用します。ガラス瓶も、色ごとに分けて粉砕され、「カレット」と呼ばれる再溶解可能なリサイクルガラスとして、ドバイのガラスメーカーに送られ、製品の原料として利用されます。 エミレーツ航空は、ガラスやプラスチックのリサイクルだけでなく、環境に配慮した素材を使用する取り組みも行っています。 リサイクルプラスチックから作られたブランケットの提供 エミレーツ航空の長距離路線のエコノミークラスでは、リサイクルペットボトルから作られたブランケットを6年前から提供しています。1枚のブランケットあたり、28本のリサイクルペットボトルが原材料として使用されています。同社は、6年間で合計9500万本以上のペットボトルを埋立処分ではなく、原料に変える事で、新たな原料の消費を回避することができました。また、リサイクルブランケットの製造工程は、従来のブランケット製造時と比較して、温室効果ガス排出量を約70%削減します。 責任ある調達 エミレーツ航空は、自社のサプライヤー規約に環境配慮に関する要件を盛り込んでいます。同社は、製品の設計段階からライフサイクル全体を考慮し、責任ある消費を行うことを大切にしています。例えば、木製の紅茶やコーヒー用のマドラー、紙製のストロー、機内販売用のバッグは、責任を持って管理された森林からの木材や紙を使用して、製造されます。 サステナブルな素材を使った子供用のアメニティ エミレーツ航空では、搭乗客に提供する子供用のアメニティやベビーキットなどもリサイクルプラスチックといった環境に配慮された原材料を積極的に活用しています。 ベルトバッグ、ダッフルバッグ、バックパックは、100%ペットボトルからリサイクルされた糸で作られています。エミレーツの子供用バックパックは、1つあたり5.5本、ダッフルバッグは1つあたり7本のリサイクルペットボトルから作られており、これまで合計で800万本のペットボトルを埋立処分ではなく、原料に変えることで、資源の消費削減に貢献しています。 再利用可能な機内アメニティキット   長距離路線のエコノミーとプレミアムエコノミーで提供される無料のアメニティキットは、自然界の4つの必須要素である火、水、土、空気を表現したデザインを採用しています。ポーチは、洗濯可能なクラフト紙で作られ、デザインは、環境に優しい大豆インクで描かれています。 ポーチだけでなく、中のアメニティキットも、環境に配慮された製品が入っています。例えば、歯ブラシは、麦わらとプラスチックが組み合わせて作られています。また、靴下とアイマスクは再生プラスチックから作られています。それぞれの包装紙には、ライスペーパーが90%使用されています。 エミレーツ航空の環境に対する取り組みについて詳しくはこちら▼   参照: https://www.emirates.com/media-centre/naaa/

サステナブルツーリズム 認証機関|事例

サステナブルツーリズム 認証機関|事例

SDGsという言葉の認知度が上がり、持続可能な社会の実現に向けて、多くの業界が転換を迫られています。新型コロナウイルスの影響により、大きな影響を受けた観光業界も同様です。本記事では、今注目を集めているサステナブルツーリズムの認証機関についてご紹介します。 サステナブルツーリズムの認証機関 観光や旅行は移動だけではなく、食事や宿泊を伴います。つまり、観光業界全体で脱炭素を加速していくには多くの業界を巻き込みながら取り組む必要があります。 そこでホテルなどの宿泊業社、ツアー業社、観光地の行政関係者や出張者などに対して取り組むべき課題や情報を発信しているのがGSTC(世界持続可能観光協議会)です。 GSTCは、サステナブルツーリズムについて世界共通の理解を促進するために設立されました。 具体的な情報開示を求めるのではなく「何を行うべきか」について、主に以下の項目に関して示しています。 業界全体に対して発行している基準に加え、個別の業界に向けた基準と観光地向けの基準の2つがあります。 観光産業全体への基準▼ 業界向けの基準ホテルなどの宿泊施設とツアー業社に対し、それぞれの業界に特化した基準が設けられています。 宿泊施設向けの基準▼ ツアー業社向けの基準▼ 観光地域向けの基準GSTC-D(D=Destination)と表記され、観光に関わる地域が行うべき項目の基準が示されています。 観光地域むけの基準▼ GSTCの基準を満たすためには GSTC基準はあくまで取り組み内容を示しているだけであり、認証を取得するためには基準を満たすだけの情報を開示する必要があります。 宿泊施設、ツアー業社、観光地域を全て認証する機関もあれば、宿泊のみに特化した機関などさまざまな認証団体があります。 それらの認証を取得することで、GSTCの基準を満たすことにもつながります。 認証を取得した事例紹介 実際にこれらの基準をみたいしている宿泊施設、ツアー業社、観光地域のそれぞれの事例をご紹介します。 宿泊施設の事例 高級ホテルで有名なBELMOND HotelがEarthCheckという認証機関の認証を取得しています。 レストランで使用する食料をより持続可能な方法で購入し、またエネルギー公立などにも配慮し、事業活動が環境に与える負荷を減らす取り組みを行っています。 認証機関であるEarthCheckは、世界中の550以上のホテルに対して改善するためのサポートなどを行っています。 ツアー業社の事例 EXO Travelというベトナム発の旅行会社です。 この旅行会社はTravellifeという認証を取得しており、GSTCはもちろん、ISO26000、UNEP、GRI、などの基準も満たすことが出来ます。 Travellifeには「パートナー」「認証済み」の2つの評価基準があり、どちらもGSTCの基準を満たすことが出来ます。 日本の大手旅行会社ではJTBガ「パートナー」認証を取得しています。 EXO Travelは認証済であり、カーボンニュートラルな旅行をすることが出来ます。 旅行代金の中に排出してしまう温室効果ガスを相殺する値段を組み込んでおり、植林、生態系の保全、マングローブの植林、地元への地域支援、サンゴの養殖などをアジアを中心行っています。 観光地域の事例 観光地の認証にはGreen Destinationsという認証機関があります。 Certified とAwardsと別れており、GSTCの基準を満たすためにはCertified認証を取得する必要があります。 しかし、これらを取得しているのはアメリカとオランダとアメリカの2都市のみとなっています。 オランダのスハウウェン ドイフェラントという街では、文化遺産をより多くの人に伝えられるよう開示し、交通量を最小限に減らすなど、環境改善にも力を入れています。 自然、景観、動植物、移動手段、エネルギーへの取り組みについて詳細に知りたい方はこちらをご覧ください。▼ いかがでしたでしょうか? 最後にご紹介した観光地域全体で認証を取得するには、多くの人の人を巻き込み必要であり、ハードルも高いように感じられます。 しかしコロナが終息し、海外旅行へ行く人が増えた時に、旅行者が気が知らず知らずのうちに行った観光地が環境に配慮していた、あるいは申し込んだツアーがカーボンニュートラルなツアーだった、というような世の中になればいいなと思います。 最後までお読みいただきありがとうございます。 あすてな公式インスタグラムでは記事を簡単に要約したものや、SDGs、サステナブルな商品のレポートなど紹介しておりますので、ぜひご覧ください! 参照:https://greendestinations.org/https://www.exotravel.com/https://earthcheck.org/https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001329574.pdfhttps://www.belmond.com/https://www.gstcouncil.org/https://www.travelife.info/index_new.php?menu=home&lang=en

サステナブルツーリズムとは?ポストコロナによって変わる旅行業界について

サステナブルツーリズムとは?ポストコロナによって変わる旅行業界について

2020年から新型コロナウイルスの流行により、多くの人の移動が制限されました。 観光業界もその影響を受けた業界の1つですが、環境やコミュニティに配慮したツアーや宿泊プランも増えました。また、観光でもデジタル化が推奨され、オンラインツアーが開催されるなど、新しい形へと変化しています。そしてこの変化はコロナが終息した後も継続されると言われています。 今回の記事では、ポストコロナの観光業について、ご紹介します。 観光業も脱炭素を求められる 現在世界では、温室効果ガスを削減し、地球温暖化を緩和しようと多くの企業や業界が変化を求められており、観光業も例外ではありません。 2021年にイギリスのグラスゴーで開催されたCOP26では、観光における気候変動対策に関する宣言が発表されました。 この宣言では、観光分野における気候変動対策を加速し、今後10年間で観光部門での二酸化炭素(CO2)排出量を半減させ、2050年までに「ネット・ゼロエミッション」の達成を目的にしたものです。 署名した団体は12か月以内に気候変動対策に関する計画を策定/更新し、同計画に沿って順次、実施への取組みが必要になります。 11月4日の時点で世界で300団体以上が署名しており、以降もオンラインにて署名することが可能です。 観光業は多くの温室効果ガスを排出している 観光業界は、世界全体で排出される温室効果のうち、8%を占めています。 その8%のうち、飛行機やバス、タクシー、フェリーなどによる移動が半分近くを占めています。 1マイルあたりに排出される二酸化炭素の量を比較すると以下のようになります。 このような背景もあって、気候変動に対する意識が高まっている現在、コロナが終息をしても移動して現地を訪問し、お金を落とすことが必ずしも賞賛されるとは限りません。 欧州では、「flight shame(フライトシェイム)」という「飛行機に乗ることは恥である」新語まで誕生しています。 ポストコロナの持続可能な観光業とは 今後、観光業界は実際に現地を訪れるリアルとオンラインを組み合わせたスタイルになるのではないかと言われています。 オンラインの場合 大手旅行会社のJTBやHIS、そしてANAホールディングスや日本航空などもさまざまなオンラインツアーを開催しています。 それぞれに特色がありますが、例えばJTBの場合、「メトロポリタン美術館の代表作品をオンラインで美術館鑑賞」や「ニューヨーク1日観光 NY在住のガイドが生配信でご案内!」などが開催予定です。 今後は、いきなりNYヘ行くのではなく、オンラインで何都市か観光したあとに現地に行くと言ったスタイルも若者や女性を中心に支持されるのではないでしょうか。 また、こちらの記事でも紹介しておりますが、1月にANAのオンラインツアーに参加しました。 チケットを購入する段階で、オンライン配信の中で実際に紹介されるしゃぶしゃぶセットを購入し、配信と同時にその味覚が体験できるツアーなどがあり、現地に行かずともその味が堪能できます。 もちろん、配信途中で購入することもできるので、自宅にいながら現地の観光を応援することも可能です。 それぞれのツアーサイトはこちらになります。 リアルの場合 オンラインツアーは環境負荷が少なく、今後は参加する人が増えると言われていますが、リアルでの観光が無くなる訳ではありません。 世界では、サステナブルツーリズム(持続可能な観光)が注目を集めています。 地球環境や社会にやさしい旅行と聞くと、エコツーリズムやネイチャーツーリズムを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。 それぞれの定義や違いは以下のようになります。 エコツーリズム 地域の自然環境や歴史などの固有文化を観光客に伝えること ネイチャーツーリズム 熱帯雨林や河川、砂漠などの自然の観光地を訪ねること サステナブルツーリズム 環境・経済・社会に対し配慮された旅行のこと エコツーリズムやネイチャーツーリズムは「環境」や「自然」に焦点が当てられているのに対し、サステナブルツーリズは、「観光」に焦点が当てられています。その上で、環境や社会に対して配慮することが求められます。 具体的な取り組みとしては、日焼け止めの持ち込みを禁止しているリゾート地や、宿泊する施設で提供される食事を地元で採れたものや自社農園で育ったもので提供することで、輸送にかかる温室効果ガスの削減に貢献している例などがあります。 また、ツアーでの食事が動物性のものを使用しないヴィーガン料理を提供している旅行会社もあります。 また、排出量の割合が高い飛行機に関しては、移動距離によって排出した二酸化炭素をオフセット、つまり植林や生物多様性の保全などのプロジェクトを支援することで、相殺する仕組みなどが取り入れられています。 (例)JALで東京→ニューヨークまでの場合 フランスでは、飛行機による環境負荷が高いということで、電車で2時間半以内で行くことのできる短距離区間の航空路線を廃止しています。 その代わり、夜行列車が復活するなど交通機関に変化が起こり始めるなど、脱炭素の動きが加速しています。 いかがでしたでしょうか? 世界ではこのようにサステナブルツーリズムや、移動に関する脱炭素の動きが加速しています。旅行業界・観光業界と言っても、対象となるセクターは多岐に渡ります。よって、宿泊施設、レストラン、バスや電車などの移動手段に関わるセクター含め、全体が大きな変化を求められていると感じます。 最後までお読みいただきありがとうございます。 あすてな公式インスタグラムでは記事を簡単に要約したものや、SDGs、サステナブルな商品のレポートなど紹介しておりますので、ぜひご覧ください! 参照:https://unwto-ap.org/topics/glasgow/https://sustainabletravel.org/

日本初!カーボンニュートラルなフライト | JAL2030

日本初!カーボンニュートラルなフライト | JAL2030

JALは2050年までにCO2の排出を実質ゼロ、つまりカーボンニュートラルを実現するという目標を掲げており、実現に向けてさまざまな取り組みを行っています。その一つとして、2022年11月18日に、東京(羽田)-沖縄(那覇)線で「サステナブルチャーターフライト」を運航します。 このフライトは、「みんなで行こう、サステナブルな未来へ」を合言葉に、沖縄の豊かな自然や人々、地域文化に触れながら、「サステナビリティ」について見て・学んで・体験することで、サステナブルな未来に向かって変わっていくきっかけとなることを目指しています。 フライトの特徴 「サステナブルチャーターフライト」は、省燃費機材エアバスA350型機での運航やSAF(持続可能な代替航空燃料)を使用することで、日本初のカーボンニュートラルフライトとなっています。 機内では、サステナブルナビゲーターによるトークイベントを実施し、これからの社会の在り方について考えます。さらに、オリジナルのサステナブルな機内食やドリンクも用意されており、ファーストクラスでは、食プロデューサー狐野扶実子氏による「SDGs 〜未来の食材50のリストからの一皿〜」として水の消費量や栄養などの観点で将来的に有望と言われる食材を使用したメニューが提供されます。普通席のメニューでは、環境負荷が低く、ヘルシーな食材として注目されている大豆ミートを使ったハンバーガーが提供されます。これらの包装には、新規石油由来の使い捨てプラスチックは使用せず、リユース可能なもの、または環境に配慮した素材が使用される予定です。 また、フードロス削減の一環として、応募の際に食事の有無を選択します。食事をしない場合は、サステナブルマイルが付与されます。 サステナブルなホテルとツアー 沖縄の人々・想い・地域文化に触れることのできるホテルやオプショナルツアーもあります。 ホテルには、サステナブルな取り組みや、ESG対応に積極的に取り組んでいるところが選ばれています。沖縄本島全体にあるので、観光したい場所から近いホテルを選ぶ事が出来ます。 <ピンク> 各ホテルのサステナブルな取り組みはこちら▼ オプショナルツアーには、希少な自然が多く残されたやんばる地域でのネイチャーガイドツアーやビーチクリーン活動などがあります。(一部抽選や有料、宿泊者限定のプランもあるためご注意ください。)地域の人々と交流し、地域活性化につながる取り組みに参加いただくことで、沖縄の魅力を改めて体感する事が出来ます。 <ブルー> ■「JAL A350 サステナブルチャーターフライトで行く沖縄」 概要 出発日: 2022年11月18日(金) 旅行期間: 1日間/2日間/3日間/4日間 時間: 東京(羽田) 10:35発 沖縄(那覇) 13:30着(予定) 使用機材: エアバスA350-900型機 フライトについて詳しくはこちら▼