サステナブルツーリズム – earthexplore

サステナブルツーリズムとは?ポストコロナによって変わる旅行業界について

サステナブルツーリズムとは?ポストコロナによって変わる旅行業界について


2020年から新型コロナウイルスの流行により、多くの人の移動が制限されました。

観光業界もその影響を受けた業界の1つですが、環境やコミュニティに配慮したツアーや宿泊プランも増えました。また、観光でもデジタル化が推奨され、オンラインツアーが開催されるなど、新しい形へと変化しています。そしてこの変化はコロナが終息した後も継続されると言われています。

今回の記事では、ポストコロナの観光業について、ご紹介します。

観光業も脱炭素を求められる

現在世界では、温室効果ガスを削減し、地球温暖化を緩和しようと多くの企業や業界が変化を求められており、観光業も例外ではありません。

2021年にイギリスのグラスゴーで開催されたCOP26では、観光における気候変動対策に関する宣言が発表されました。

観光における気候変動対策に関するグラスゴー宣言
観光における気候変動対策に関するグラスゴー宣言

この宣言では、観光分野における気候変動対策を加速し、今後10年間で観光部門での二酸化炭素(CO2)排出量を半減させ、2050年までに「ネット・ゼロエミッション」の達成を目的にしたものです。

署名した団体は12か月以内に気候変動対策に関する計画を策定/更新し、同計画に沿って順次、実施への取組みが必要になります。

11月4日の時点で世界で300団体以上が署名しており、以降もオンラインにて署名することが可能です。

観光業は多くの温室効果ガスを排出している

観光業界は、世界全体で排出される温室効果のうち、8%を占めています。

観光業界における排出量の内訳
観光業界における排出量の内訳

その8%のうち、飛行機やバス、タクシー、フェリーなどによる移動が半分近くを占めています。

1マイルあたりに排出される二酸化炭素の量を比較すると以下のようになります。

移動における排出量の比較
移動における排出量の比較

このような背景もあって、気候変動に対する意識が高まっている現在、コロナが終息をしても移動して現地を訪問し、お金を落とすことが必ずしも賞賛されるとは限りません。

欧州では、「flight shame(フライトシェイム)」という「飛行機に乗ることは恥である」新語まで誕生しています。

ポストコロナの持続可能な観光業とは

今後、観光業界は実際に現地を訪れるリアルとオンラインを組み合わせたスタイルになるのではないかと言われています。

オンラインの場合

オンラインツアー

大手旅行会社のJTBやHIS、そしてANAホールディングスや日本航空などもさまざまなオンラインツアーを開催しています。

それぞれに特色がありますが、例えばJTBの場合、「メトロポリタン美術館の代表作品をオンラインで美術館鑑賞」や「ニューヨーク1日観光 NY在住のガイドが生配信でご案内!」などが開催予定です。

今後は、いきなりNYヘ行くのではなく、オンラインで何都市か観光したあとに現地に行くと言ったスタイルも若者や女性を中心に支持されるのではないでしょうか。

また、こちらの記事でも紹介しておりますが、1月にANAのオンラインツアーに参加しました。

チケットを購入する段階で、オンライン配信の中で実際に紹介されるしゃぶしゃぶセットを購入し、配信と同時にその味覚が体験できるツアーなどがあり、現地に行かずともその味が堪能できます。

もちろん、配信途中で購入することもできるので、自宅にいながら現地の観光を応援することも可能です。

それぞれのツアーサイトはこちらになります。

リアルの場合

サステナブルツーリズム

オンラインツアーは環境負荷が少なく、今後は参加する人が増えると言われていますが、リアルでの観光が無くなる訳ではありません。

世界では、サステナブルツーリズム(持続可能な観光)が注目を集めています。

地球環境や社会にやさしい旅行と聞くと、エコツーリズムやネイチャーツーリズムを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。

それぞれの定義や違いは以下のようになります。

エコツーリズム地域の自然環境や歴史などの固有文化を観光客に伝えること
ネイチャーツーリズム熱帯雨林や河川、砂漠などの自然の観光地を訪ねること
サステナブルツーリズム環境・経済・社会に対し配慮された旅行のこと

エコツーリズムやネイチャーツーリズムは「環境」や「自然」に焦点が当てられているのに対し、サステナブルツーリズは、「観光」に焦点が当てられています。その上で、環境や社会に対して配慮することが求められます。

具体的な取り組みとしては、日焼け止めの持ち込みを禁止しているリゾート地や、宿泊する施設で提供される食事を地元で採れたものや自社農園で育ったもので提供することで、輸送にかかる温室効果ガスの削減に貢献している例などがあります。

また、ツアーでの食事が動物性のものを使用しないヴィーガン料理を提供している旅行会社もあります。

また、排出量の割合が高い飛行機に関しては、移動距離によって排出した二酸化炭素をオフセット、つまり植林や生物多様性の保全などのプロジェクトを支援することで、相殺する仕組みなどが取り入れられています。

(例)JALで東京→ニューヨークまでの場合

JAL - カーボンオフセット
JAL – カーボンオフセット

フランスでは、飛行機による環境負荷が高いということで、電車で2時間半以内で行くことのできる短距離区間の航空路線を廃止しています。

その代わり、夜行列車が復活するなど交通機関に変化が起こり始めるなど、脱炭素の動きが加速しています。

いかがでしたでしょうか?

世界ではこのようにサステナブルツーリズムや、移動に関する脱炭素の動きが加速しています。旅行業界・観光業界と言っても、対象となるセクターは多岐に渡ります。よって、宿泊施設、レストラン、バスや電車などの移動手段に関わるセクター含め、全体が大きな変化を求められていると感じます。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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参照:
https://unwto-ap.org/topics/glasgow/
https://sustainabletravel.org/