観光は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた産業の一つです。国際線の大幅な減少、および運行停止により、海外からの訪日外国人客数は減りました。2022年10月11日、日本政府が、査証免除措置の適用を再開し、1日あたりの入国者総数に制限を設けない(※発表前は 50,000人/1日を目途としていた)、いわゆる水際対策措置の見直しを発表してから、再び海外からの訪日外国人客数が増えています。
目次
- 海外からインバウンドが戻りつつある
- 日本はアンケートで「行きたい国ランキング1位」を取得
- 欧米豪のインバウンドが意識していることをチェックする
- グーグルトラベルのエコ認定を知っておく
- サステナブルツーリズムの認証取得の重要性
- 最後に
海外からインバウンドが戻りつつある
日本政府観光局(JNTO)が2022年12月21日に発表した、2022年11月の訪日外国人数(※推計値)は93万4,500人という結果となりました。以下のグラフでも分かる通り、水際対策の撤廃によって訪日外国人観光客の受入が容易になりました。入国ビザの免除措置の再開によって、訪日外国人観光客数が再び増えていることが分かります。特に東アジアの来訪数が増えているのが特筆すべき点といえるでしょう。
日本はアンケートで「行きたい国ランキング1位」を取得
日本は、外国人が行ってみたい国と挙げる国の1つです。2022年6月に、アジアおよび欧米豪12地域を対象としたアンケート「DBJ・JTBFアジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2022年度版」で、日本は「行きたい国1位」という結果となりました。
以下のグラフを見てもわかる通り、2019年度以降の定期的なアンケートでも日本は連続して「行きたい国1位」となっています。海外の日本の人気は安定しているものといえるでしょう。
欧米豪のインバウンドが意識していることをチェックする
欧米豪を中心とした若い世代は、日頃からサステナブルなライフスタイルを心がけているといわれています。彼、彼女らは、滞在期間や観光費用のことだけでなく、旅行会社・宿泊先・交通機関・滞在スポットのサステナビリティに対する取り組みを、事前にウェブサイトで確認を行う傾向があります。例えば、宿泊費が大きく変わらない場合は、館内の照明がLEDを使用しているか、歯磨きなどのアメニティが環境保護に配慮しているかといったことも宿泊先を選ぶ基準となっています。
しかしながら、日本の国内旅行事業会社のウェブサイトでは、欧米豪からの観光客が求めている「サステナビリティ」「SDGs」「エコラベル」などの情報が、英語などの多言語で公表されていない場合があります。このような不十分な対応も相まって、日本が旅行したい国の選択肢から外れることが、将来起きるかもしれません。その為、まずはサステナビリティにまつわる情報を英語で発信することが大切でしょう。
グーグルトラベルのエコ認定を知っておく
グーグルトラベルでホテルを検索すると、サステナビリティに注力する宿泊施設には「エコ認定」のラベルが付けられます。この認定があるとインバウンド観光客にも注目され、誘致がしやすくなるでしょう。グーグルトラベルのエコ認定は、第三者認定機関が指定するサステナビリティの基準を満たすホテルに付与され、また以下の 4 つのカテゴリによる環境への影響に焦点を当てて評価を行っています。
- エネルギー効率
- 水の保全
- 廃棄物の削減
- 持続可能な調達
この4項目の詳細については、グーグル公式のサステナビリティに関する取り組みを追加する – Hotel Center ヘルプ「サステナビリティに関する取り組みと定義」の項目で確認できます。
サステナブルツーリズムの認証取得の重要性
欧米豪からの観光客は、旅行先や宿泊先を決めるときにサステナブル認証の取得有無を確認する場合があります。サステナブル認証には、前述したグーグルトラベルのエコ認定の第三者認証機関としても認定されている、BREEAMやEarthCheck、Green Keyなどがあります。
ホテルの部屋がきれい、かつアメニティグッズが充実していても、サステナブルな取り組みが不十分な場合、滞在先として除外するというケースもあるそうです。逆に年数が経過している宿泊施設でも、環境に配慮した優しいルームクリーニングや、最低限のアメニティの提供などの対応をしていれば、宿泊したい人が増えるというケースもあります。
英語で情報発信を行うことも重要です。しかし、今後は、観光客にとって一目で理解できるサステナブルツーリズムの認証を取得することも重要な取り組みになるでしょう。
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最後に
今後は、宿泊施設やツアー提供者だけでなく、お土産業界や飲食店、交通機関、美術館といった公共施設などもサステナブルツーリズムの対象になる可能性があります。インバウンド観光客が増えることを想定し、サステナビリティ対策に取り組み、前もって情報を発信しておくと、集客がしやすくなります。取り組んでいる内容を今一度見直し、サステナブルツーリズムの実現につなげていきましょう。
参照:
新型コロナウイルス感染症に関する新たな水際対策措置について (METI/経済産業省)
日本政府観光局(JNTO) – Japan National Tourism Organization